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VOICE -岐大医学部から- 解剖学分野からのメッセージ

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『VOICE-岐大医学部から-』第30回は、2011年8月に着任されました、医学系研究科 病態制御学講座 解剖学分野 教授 千田 隆夫先生にお話を伺いました。

■ 教室をどのように盛り立てて行きたいですか?

千田教授
略 歴
1984年 和歌山県立医科大学医学部 卒業
1986年 大阪大学医学部解剖学第三講座 助手
1991年 大阪大学医学部解剖学第三講座 講師
1994年 名古屋大学医学部解剖学第一講座 助教授
2000年 藤田保健衛生大学医学部解剖学第一講座 教授
2011年 8月より現職
解剖学分野Webページ

形態学を基盤に据えて研究を進めていきたいと考えています。

医学のスタートは観察することです。最初は目で見ることから始まり、外から見えない体の内部を見るために解剖を行い、さらに肉眼で分からないような細かいところを見たいと思い、顕微鏡を使って観察するようになりました。このような『見えないものを見たい』という知的好奇心が、医学や解剖学を推し進めてきた原動力だと思います。

解剖学分野の特色を出すという意味でも、形をしっかり観察することで、そこにひそむ生命情報を引き出すというスタンスを大事にしたいです。具体的には、光学顕微鏡や電子顕微鏡だけでなく、臨床で使用するような画像診断機器等も積極的に取り入れながら、形態学を基盤とした生命科学を発展させていきたいと考えています。

また、近年、基礎医学研究の道に進む学生が少なくなっていますが、研究者との触れ合いの機会が少なくなったことが原因の一つだと思います。先進的な教育方法も大切ですが、学生と先生・研究者が常に接することができる場を作ることが必要だと考えていますので、気軽に解剖学分野に遊びに来てください。


■ 臨床医ではなく、基礎研究の道に進まれたきっかけは?

当初は臨床医に憧れて医学部に入学したのですが、大学時代の先生との出会いがきっかけで、解剖学の道に進もうと考えるようになりました。

特に影響を受けたのは、所属していたボート部の顧問でもあった解剖学の教授と、在学中に特別講義に来られた大阪大学の解剖学の教授でした。その2人の先生の講義は非常にインパクトがあり、解剖学にとても魅力を感じました。

授業の一環で基礎系の教室に配属される時に解剖学教室を選び、その中で解剖学・形態学に徐々に惹かれていきました。研究生活に入って実験が上手くいかず辛いこともありますが、基本的に解剖学が好きだったので、続けて来られたのだと思います。それは今でも変わりません。


■ どのような研究を行っていますか?

千田教授

生物は全て一つの受精卵から始まり、細胞が分裂してそれぞれの場所で然るべき機能を持った細胞・組織・臓器に分化していきます。その分化の際には、適切なタイミングで決まった指令が出ているのですが、その指令がどのように伝わっていくのかという指令系統の研究をしています。

その中でも、Wntシグナル系とAPC遺伝子について研究しています。Wntシグナル系は、細胞の増殖を活発にする働きを持っていますが、その働きが進みすぎると細胞が増殖しすぎて癌になってしまいます。それを防ぐためのブレーキ役をしているのがAPC遺伝子(APC蛋白質)です。

もともとAPC遺伝子は家族性大腸癌の原因遺伝子として発見されたのですが、近年は癌化以外にも、体内の様々な臓器の発生・分化に関わっていることが明らかになってきました。また、脳には多量のAPC遺伝子が発現しているのですが、脳内のAPC遺伝子の働きが無くなっても脳が癌になることはまれです。

マウスを用いた私たちの研究では、知能・行動・記憶といった高等な精神機能にAPC遺伝子が関わっていることが明らかになってきましたので、今後はいろいろな発生時期におけるAPC遺伝子の脳精神機能への関わりを追究したいと考えています。


■ 医師を目指す学生にメッセージをお願いします

千田教授

人間の可能性は多様です。在学中には勉強に限らず、様々なことを体験して欲しいと思います。そのためには、一つのことに限定せずに、面白いと思ったことには積極的にトライするなど、好奇心と一歩踏み出す勇気を大事にしてください。

私自身、学生時代はボート部に所属し、のめりこみやすい性格からか6年生の西医体後も部活動を続け、国体にまで出場することが出来ました。大学卒業後もボートの国際大会審判資格を取得し、2008年北京オリンピックで審判を務めるまでになりました。現在は、日本ボート協会の理事としても活動を続けています。

医学を学ぶ上で、一人の人間が普遍性と個性を併せ持っていることをよく認識して欲しいと思います。心臓は1つであり、脳で考え、手足が動き、目でモノを見るという誰にでも共通の普遍性が存在します。その反面、解剖実習を行うと気付くことですが、神経や血管の分岐や走行、脳のしわの形は皆ちがいます。つまり、それぞれの人体には個性があり、すべてが教科書どおりの人はおそらく地球上に一人も存在しません。だからこそ、患者さん一人一人に適切な治療法を見つける必要があるのです。



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