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VOICE-岐大医学部から- 神経内科・老年学分野からのメッセージ

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『VOICE-岐大医学部から-』第86回は,2017年8月に就任されました,医学系研究科 神経統御学講座 神経内科・老年学分野 教授 下畑 享良先生にお話を伺いました。

■医師になられたきっかけは?

下畑教授
略 歴             
1992年 新潟大学医学部医学科 卒業
同 年 新潟大学医学部附属病院医員(研修医)
1994年 信楽園病院神経内科に勤務
1995年 秋田赤十字病院神経内科に勤務
2001年 新潟大学大学院医学研究科 博士課程(医学)修了
2002年 日本学術振興会特別研究員
2004年 米国スタンフォード大学脳外科客員講師
2007年 新潟大学脳研究所神経内科准教授
2017年 8月より現職

 小学生のころ,無医村で献身的に働く医師の姿をテレビで見たことがきっかけでした。その後,医療と生命をテーマとした手塚治虫さんの「ブラックジャック」というマンガを読んで,一層,医師に関心をもつようになりました。医師を目指すことには迷いはありませんでしたが,医師になったあと,どの診療科に進むかで迷いました。研修医2年目に,神経内科不在の病院で,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんを担当するまで,神経内科には関心がありませんでした。その50歳代の女性はALSと診断されないまま,呼吸不全のため救急外来で人工呼吸器を装着されました。その後,診断を聞かされたその患者さんは悲嘆に暮れましたが,未熟な私はその方を支えることができず,患者さんは精神的にも身体的にも回復することができませんでした。そして多くの合併症を併発し,1年もたたずにお亡くなりになりました。私は猛烈な無力感に襲われましたが,しばらくして,優れた神経内科医であれば何ができたのだろうかと考えました。1年目の研修でお世話になった先輩の神経内科医に相談したところ,「神経難病はまだ治癒させることはできないけれど,神経内科医にしかできないことはあるんだよ」と言われ,それがどういうことか知りたくて,神経内科に進みました。

■どのような研究を行っていますか?

 私は神経内科医として,たくさんの患者さんにめぐりあい,多くのことを学びましたが,同時に何度も無力感に襲われました。脊髄小脳変性症(ポリグルタミン病)の女児のどうしても止められないけいれん発作や,多系統萎縮症の患者さんの突然死,脳梗塞患者さんの血栓溶解療法後の出血合併症による症状の悪化,ブドウ糖注射をしたあとは治療法がない低血糖脳症など数え切れません。ただ「ひとりでは何もできないけど,情熱を持った仲間が3人集まれば,世界に通用し,患者さんに貢献する研究ができる」という先輩医師の言葉は私にとって支えになりました。その後,私は無力感を克服するために仲間を見つけて,これらの疾患に対する臨床研究や基礎研究に取り組みました。具体的には,ポリグルタミン病の治療研究や多系統萎縮症の突然死に対する予防法の確立に取り組みました。また米国にベンチャー企業を設立し,脳梗塞に対する新薬の開発を目指しています。そしてこれらの研究の過程で,臨床も基礎研究も情熱をもち,決して諦めてはいけないことを学びました。臨床応用を目指した研究は多くの困難を伴いますが,患者さんや世の中のために努力を続けていると,周囲の人々は見守ってくれていて,無償の応援をしてくださることも学びました。

■教室をどのようにもり立てて行きたいですか?

 何より大切だと思うことは,若手医師および医学生に対して,神経内科学・老年学の教育をしっかり行ない,仲間を増やすことです。私が育てたい理想の医師像は,①共感(empathy)の心を持って,患者さん,家族に寄り添うことのできる医師,②臨床能力のすぐれた医師,③臨床応用に直結する研究(トランスレーショナル・リサーチ)のできる医師です。臨床能力については,広範囲の知識や技術をもちつつ,周囲から頼られる専門領域を持つ医師を育てたいと思います。そのために最善と思われる学習や経験の機会を提供できるよう全力を尽くします。

下畑教授

 一方で,近年,神経内科医におけるバーンアウト(燃え尽き症候群)が,世界的に切実な問題として注目されています。私は,自分自身が苦しい状況で,患者さんを幸せにすることは難しいと思っています。ですから教育はしっかり行ないますが,それ以外は自由な雰囲気を作り,教室の先生方にはのびのびとやっていただきたいと思います。また私の妻は麻酔科医で,共働きをしてきたことから,女性医師の大変さや悩みも理解しておりますので,各人の希望に沿ったサポートを行いたいと思います。

■医師を目指す学生へのメッセージ

 これから日本は未曾有の超高齢化社会を迎えます。これに伴い,認知症,脳卒中,パーキンソン病などの神経難病患者さんはさらに増加します。これに対応するには神経内科医は少なくとも現在の2倍の人数が必要だと言われています。しかし神経内科医はごくわずかずつしか増えておりません。神経内科が「難しい,治らない病気を扱う診療科」と誤解され,敬遠されていることがその一因と言われています。「難しい」については,神経内科医になるには並の頭脳があれば充分で,ずば抜けた秀才である必要はありません。むしろ大事なのは神経疾患を抱えた患者さんに向き合い,支えることができる人間性ではないかと思います。加えて清澄な倫理観をもち,気力・体力・向上心があれば立派な神経内科医になれます。また「治らない」についても,私が医学生の頃とは状況が全く異なり,多くの疾患にさまざまな治療が開発され,その進歩は驚くほどです。是非,これからますます必要とされる神経内科医の仲間になって欲しいと思います。最新の情報を私のブログや当科のフェイスブックで発信しておりますので,ご覧いただきたく思います。

 

Neurology 興味を持った「神経内科」論文

http://blog.goo.ne.jp/pkcdelta

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