Department of Pharmacology, Gifu University Graduate School of Medicine

研 究 の 概 要

  薬理学的手法, 細胞生物学的手法および分子生物学的手法を用い研究を行い, 代謝性疾患・血栓症・動脈硬化症・消化器系疾患の病態の解明を通してヒトに有用な新たな創薬を目指し研究を行っている。

1)種々の病態における低分子量ストレス蛋白質の役割の解明

 生体のストレス応答において中心的役割を担うと考えられているストレス蛋白質 (heat shock protein:HSP) に注目し, 中でも分子量が10-30kDaの低分子量ストレス蛋白質 (low-molecular-weight HSP:HSPB) の機能を解析している。低分子量HSPのファミリーの中で, HSPB6 (HSP20) とHSPB5 (αBクリスタリン) が従来の細胞内シャペロンとしての機能以外にストレス応答に際し, 細胞外に遊離され血小板機能を抑制することを発見し, その活性部位を見出した。さらに, 血小板からの顆粒分泌をHSPB1 (HSP27) のリン酸化が制御していることを明らかとしている。
 また, 肝癌の病態においてHSPB1 (HSP27) のリン酸化の程度およびHSPB6 (HSP20) の総発現量がヒト肝細胞癌におけるTNMステージと逆相関することを見出し, HSP27およびHSP20が癌細胞の増殖の細胞内情報伝達機構を制御していることを示した。さらに, 最近, HSP20の標的蛋白質がphosphatidylinositol 3-kinaseおよびBaxであり, それぞれ, 増殖・アポトーシスの機能を制御していることを明らかとした。
 現在, 低分子量ストレス蛋白質 (HSPB) の中でも, 種々の臓器・細胞にユビキタスに存在しているHSP27・HSP20・αBクリスタリンおよびHSP22の細胞内 (骨芽細胞・神経細胞・血小板・肝癌細胞・卵巣癌細胞)・細胞外での機能及び役割の詳細な検討を行っている。

2)骨芽細胞・神経細胞・血管平滑筋細胞・肝細胞の細胞内情報伝達機構の解明

 初代培養細胞およびモデルクローン化細胞を用いて, 細胞増殖因子・サイトカイン・ホルモン等種々の生理活性物質の細胞内情報伝達機構について検討を行っている。細胞の増殖・細胞運動・分化やアポトーシスのメカニズム・その制御おける役割を解析し, 骨粗鬆症・血栓症・動脈硬化症・急性冠症候群・肝癌の病態の解明を試みている。さらに, これら疾患に使用されている種々の薬物の新たな作用の解析および作用機構の検討を行っている。

3)代謝疾患 (糖尿病・骨粗鬆症等) における血小板機能の変化と誘発される種々の病態生理の解明

 糖尿病などの代謝疾患は, 血栓症 (虚血性疾患) や神経・臓器障害などの2次的疾患の誘発率が高く, 血小板機能の変化と血栓症や各臓器障害との関係を追求している。既に, 骨粗鬆症の治療薬として使用されているSERMの一つであるラロキシフェンがその副作用として血小板凝集能を亢進させることを明らかとしている。現在, 代謝疾患 (糖尿病・骨粗鬆症等) および頸動脈狭窄症における血小板の機能および血小板細胞内情報伝達機構の解析を行っている。




Department of Pharmacology, Gifu University Graduate School of Medicine