トップ >ご挨拶

ご挨拶


岐阜大学医学部脳神経外科
教授 岩間 亨


「脳」,それは言うまでもなく人間が人間として在るための最も象徴的な臓器です.その「脳」にメスを加えるのが脳神経外科医です.

脳神経外科医にとってヒトの脳にメスを加えることは,誇りであると同時に畏敬の念を禁じえない行為です.われわれはいつも患者さん一人一人の人格を尊重して治療にあたっています.全ての医療に共通することですが,ヒトの体にメスを加えること,薬剤を投与すること,そのような行為に対してわれわれは常に謙虚で誠実でなければならないと考えています.もちろん最高水準の医療を行なうべく,最先端の診断法・診断機器を取り入れた正確な診断,科学的エビデンスをもとにした疾患・治療成績に関する正確な情報提供,そして的確な手術・治療を達成するために日々努力を重ねていますが,それだけでは不十分です.単に専門知識,医療技術を備えているだけでなく,ひとりの人として患者さんや同僚の医療従事者と誠実に対応できること,人間の弱さを理解するこころを持つことが,重度のハンディキャップを有することの多い患者さんと向き合う脳神経外科医には必要不可欠です.

われわれの誰もが「神の手」を持ってはいませんが,人としてのこころと外科医としての真摯さ,誠実さをもって診療に取り組んでいます.脳の病気でお悩みの患者さんのひとりでも多くがわれわれのもとで元気になられることを,脳神経外科医をめざす若者のひとりでも多くがわれわれのもとで修練を重ね,いつの日かわたし達を越えて優れた脳神経外科医として巣立っていくことを願ってやみません.


岐阜大学医学部脳神経外科
教授 岩間 亨