コラム

脊髄小脳変性症

2019.01.22

反復発作性運動失調症(episodic ataxia)の原因

カンファレンスで発作性小脳失調について議論しました.ビデオは小脳性運動失調,とくに小脳性の構音障害が数分間続いて消失するところを示しています.64歳の男性で,認知症と全身けいれんを呈した後,誘因なく,1日複数回,このような構音障害を認めるようになりました.MRIでは異常がないものの髄液タンパクは101 mg/dLと増加,全身の腫瘍検索では異常なし.電位依存性カリウムチャネル(VGKC)複合体抗体が陽性で,その一つである抗CASPR2抗体が血清および髄液で陽性でした.そして免疫療法にて改善しました.つまり本例はCASPR2抗体関連疾患に伴う反復発作性運動失調症といえます(Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. . 2017;4:e371 & 2019;6:e536).いずれもオープンアクセスです.以下は私の鑑別診断メモです.

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【反復発作性運動失調症】
GLUT1欠損症(小児),遺伝性Episodic ataxia(KCNA1,CACNA1遺伝子変異など), hemiplegic migraine(頭痛合併),Rotational vertebral artery syndrome (RVAS)(頸部回旋に伴う VA狭窄),CASPR2抗体陽性例,Paroxysmal dysarthria-ataxia syndrome (PDA) (脳梗塞,脱髄疾患(中脳)),薬剤性(アミオダロンなど)

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