コラム

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2019.12.23

本態性振戦とET plus ―概念の変化と近年の進歩―

先日,「神経変性疾患領域における基盤的調査研究班」において,本態性振戦(essential tremor;ET)に関する演題の座長を担当し,本態性振戦の現状について勉強しました.重要なことは,2018年にMDSによる新しい振戦の分類が報告され,そのなかで,下図の振戦症候群のひとつとして,診断基準が改訂されたことです.(1)両側上肢の「運動時振戦」を呈する振戦症候群,(2)少なくとも「3年以上」の持続期間がある,(3)その他の部位の振戦を伴うこともある(例.頭部振戦,音声振戦,下肢の振戦),(4)ジストニア,失調,パーキンソニズムなどのその他の神経徴候を認めない,の4項目です.また振戦以外に軽微な神経徴候を認める場合,ET plusとして分類することが提唱されました.遺伝子座としてETM1から5まで5領域が報告されていましたが,ごく最近,中国人11家系においてNOTCH2NLC遺伝子(神経核内封入体病(NIID)と同一原因遺伝子です)の5’非翻訳領域にGGCリピート伸長(60-250,健常者4-41)が認められ,表現促進現象を示すことが確認されています.ブログにまとめましたのでご覧ください.

https://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/e81d61bf28b5b7a42a2ee2c44be6fcf8

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