コラム

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2019.10.23

人工呼吸器管理中に「側頭部痛」を呈したALS患者さんから学んだこと

「学会発表だけで終わってしまっては何も残らずヌル(ゼロ)である.本当に伝えたいのであれば論文に残さなければならない・・・」先輩から教わり,今は若手に口酸っぱく伝えていることです.当教室でも症例報告を頑張って記載する先生が増えてまいりました.最新号のInternal medicine誌に報告した症例は,吉倉延亮先生の指導で,レジデントの大野陽哉先生が日本頭痛学会で発表したのち,初めて論文にしたものです.人工呼吸器管理中のALS患者さんでは,長期臥床や耳管筋力低下から化膿性中耳炎を繰り返すことがあります(図左).コミュニケーション障害のため,痛みの部位や性状が医療者に伝わりにくく,診断が遅れ,脳膿瘍にまで進展した症例をご紹介いただき,加療しました(図右).進行期ALSの合併症としての脳膿瘍を認識するとともに,物言わぬ患者さんの苦痛に,問診と診察により気づくスキルをもつことの大切さを学びました.論文は下記のJ-STAGEでDLできますのでご覧ください.

Intern Med. 2019 Oct 15. doi: 10.2169/internalmedicine.3709-19.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_3709-19/_article

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