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2019.08.23

アルツハイマー病発症までの「長い道のり」に何をするか?

Neurology誌に「閾値下アミロイドの生物学的・臨床的意義-長い道のり-」という総説が発表されています.これはアルツハイマー病(AD)を発症する「閾値」に到達する前の脳について書かれた論文で,図に強烈なインパクトがあります.つまりADの原因として重視されてきたアミロイドβの脳への沈着は,発症者では30歳代から始まり,60歳代までの30年にゆっくりと進むこと(紫ライン),しかしその程度は患者によって差があり(グレーで囲まれた幅),その差は加齢によって次第に大きくなること(黒矢印線)が示されています.発症を遅らすためにはこの30年間が大切で,修正可能な因子の是正(図のイラスト:順に高血圧,喫煙,睡眠障害,運動不足,肥満,栄養障害,教育)に取り組むことが大切だと著者は述べています(ただどの影響が,より大きいのかはまだ分かっていません).私はどちらのグループなのか分かりませんが,まだ10年もあると考えて,血圧,睡眠,運動,体重,栄養に気をつけたいと思います!
Bischof GN et al. Neurology 2019; 93, 72-79

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