コラム

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2018.10.02

不明熱の原因としての腸腰筋膿瘍

朝のカンファレンスで腸腰筋膿瘍について議論しました.腸腰筋は腫大し(図),発熱,鼠径部の腫脹,背部痛・腰痛,歩行時の疼痛を認めますが,意識障害のある症例では鑑別診断に挙げないと見逃します.化膿性と結核性があり,後者では大量の膿瘍を形成します.凝固異常やヘパリン治療などを行っている場合には腸腰筋出血を認めますが,鑑別を要することがあります.原発性では糖尿病,薬物使用,免疫抑制剤,HIV,腎不全が危険因子となり,症候性ではクローン病,憩室炎,虫垂炎,大腸がん,尿路感染症,脊椎炎,化膿性仙腸関節炎,敗血症性関節炎,筋外傷,心内膜炎,大腿静脈カテーテル等が原因となります.治療は化学療法のもとに切開排膿します.

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