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2017.10.31

抗NAE抗体陽性の孤発性ヤコブ病症例の経験(Prion誌)

MM2型の孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(sCJD)は臨床経過が長く,脳波検査でもPSDはほぼみられません.MM2には,大脳皮質病変が中心の皮質型(C)と視床病変が中心の視床型(T)が含まれます.今回,抗NAE抗体が陽性で,橋本脳症との鑑別が問題となったMM2C型sCJD症例を,林祐一講師がPrion誌に報告しました.画像所見は典型的なsCJDでしたが,髄液の14-3-3蛋白,タウ蛋白は正常で,かつ抗NAE抗体が陽性で診断が難しいものとなりました.RT-QUICは最初からCJDを支持する所見でしたが,橋本脳症でも偽陽性例の報告がありました.実は5%程度のsCJD症例で,低力価ながら抗神経抗体が出現するとも報告されています.このような症例では免疫療法を十分行い,治療反応性の有無を確認した上で,診断を行う必要があると林先生は強調しています.

Hayashi Y et al. Clinical findings of a probable case of MM2-cortical-type sporadic Creutzfeldt-Jakob disease with antibodies to anti-N-terminus of α-enolase. Prion. 2017 Oct 2:1-11. doi: 10.1080/19336896.2017.1377876.

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