コラム

神経所見・検査所見

2019.07.23

ハート・マークの脳梗塞(Heart sign)

朝のカンファレンスで,ハート型の脳梗塞について議論しました.拡散強調画像において延髄にみられる所見ですが,両側延髄内側梗塞におけるHeart signと呼ばれています.横断像だとスライスの厚さの関係で,橋下部に同様の変化を認めることがあります.38例の症例集積研究では,徴候は運動麻痺が78.4%と最も多く,次いで構音障害が48.6%,舌下神経麻痺は40.5%と報告されています.原因は椎骨動脈や脳底動脈の動脈硬化(それぞれ38.5%,19.2%)が多く,前脊髄動脈閉塞でも生じます.予後不良です(死亡率23.8%).階段状の進行を示し,進行性の四肢麻痺,両側性の感覚障害,球麻痺,呼吸不全へと至るため,ギランバレー症候群と誤診されることがあります.鑑別のポイントは発症様式の聴取で,両側延髄内側梗塞は急性発症であるのに対し,GBSは亜急性の経過です.
J Stroke Cerebrovasc Dis 22;775-780, 2013; J Neurol Disord 4; 3: 2016; Case Rep Neurol Med 2013 (ID 274373); Postgrad Med J 87; 156-7, 2011
★追加★近森病院葛目先生から対麻痺を呈しうるため,「横断性脊髄症」も鑑別になることをご教示いただきました.神経内科 2017 ; 86 : 638-639.

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