コラム

神経所見・検査所見

2019.06.16

Dawsonの指

回診で多発性硬化症(MS)の診断に有用な頭部MRI所見である「Dawson’s fingers」について議論しました.MSでは頭部MRIにおいて,脳室周囲や皮質近傍に散在する卵円形病変(ovoid lesion)を呈しますが,そのなかで側脳室壁から皮質に向けて伸びるものがDawson’s fingersと呼ばれています(図上).回診で問題となったのは「ところでDawsonってどういう意味?」ということでした.調べてみるとスコットランドの病理学者James Walker Dawson(1870-1927)の名前でした.Dawson先生は1916年に執筆した論文(The Histology of Disseminated Sclerosis)のなかで,9名の患者剖検脳に由来する78枚の標本から,22枚のカラーの図と434枚の白黒の図を作成し,様々なステージの病理所見を詳細に記載し,MS研究に多大な貢献をしたそうです(図下).このなかで現在,Dawson’s Fingersと呼ばれる病変パターンを記載しているのです.
Korean J Radiol 2017;18:992-1004; Transactions of the Royal Society of Edinburgh 1916;50:517-740.

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