コラム

神経所見・検査所見

2019.05.29

アキレス腱の肥厚を見落とさない!

アキレス腱が肥厚する脳腱黄色腫症という疾患があることを学生に話しました.患者さんは歩行しにくくなり,アキレス腱に痛みを訴えることもあります.この疾患はケノデオキシコール酸(CDCA)という治療法があるのですが,正しく診断がなされないことが多く,未診断のまま放置されたり,腫瘍と間違われて手術されたりすることがあります.昨年,信州大学関島良樹教授らが行った本邦の全国調査(J Hum Genet 2018)で,発症は平均24.5歳,診断時年齢が41.0歳,つまり初発症状(アキレス腱黄色腫)から診断まで16.5年を要しています.この疾患を認識し,見落とさないことが大切です.
症状としては痙性対麻痺,認知機能低下,若年性白内障,失調,てんかん,心血管障害を呈します.図は頭部MRIでの内包,橋,小脳歯状核の異常信号と,肥厚したアキレス腱に沈着する構造物(HE染色,電顕)です(BMC Neurol 2011).シトクロムP-450(CYP)遺伝子異常により27-ヒドロキシラーゼ(CYP27)活性が低下する常染色体劣性疾患です.

一覧へ戻る