コラム

神経所見・検査所見

2018.12.27

常同運動症(stereotypy)とは何か?

この数ヶ月で2回ほど,上肢の同じ運動を繰り返す患者さんを回診しました.抗NMDAR抗体脳炎と小児期の髄膜脳炎後遺症の成人でした.印象がてんかん(epilepsia partialis continua)や不随意運動(ヘミバリズム)とは異なり,さらにdistraction(他に注意を引くタスク)で変化するため「これはstereotypyと呼ぶべきだろう」と解説しました.Stereotypyは一見正常な無目的な運動を何度も繰り返すもので,脳神経内科領域ではそう多く遭遇するものではないですが,上述の抗NMDAR抗体脳炎のほか,前頭側頭葉認知症や薬剤性(パーキンソン病におけるpunding)で見かけます.小児科の先生方とも議論しましたが,小児科では生理的なものやさまざまな疾患でしばしば眼にするそうです.概念や具体的な例,定義,分類,鑑別,治療などブログにまとめましたのでご覧ください.動画はMov Disord. 2012;27(2):179-85のもので動画のみフリーアクセスです.Rett症候群,健常児,脳炎後,左被殻の脳血管障害,そして鑑別診断としての遅発性ジスキネジアと続きます.4つめのくるくる回る歩行には驚きました.

http://urx3.nu/OPC2

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