コラム

神経所見・検査所見

2018.08.29

磁石歩行

回診で正常圧水頭症(iNPH)の歩行の話をしました.前頭葉性の歩行で,脳血管性パーキンソニズムに似ています.歩行開始時のすくみ,開脚歩行,小刻み,すり足で,地面に吸い付いて見えることから磁石歩行と呼ばれます.パーキンソン病で認められるkinesie paradoxale (矛盾性運動)はみられません.このビデオは米国患者会提供による典型例ですが,20秒ごろから急激に磁石歩行になります.iNPHでしばしば認められる「注意力低下」が生じた後,急速に悪化したと説明があります.腱反射は亢進することが多く,本例でも動画の最後にBabinski徴候を認めています.

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