コラム

神経所見・検査所見

2017.12.21

ALS患者さんの急な呼吸困難ではたこつぼ型心筋症も疑う

朝のカンファレンスで,たこつぼ型心筋症について議論しました.動画のように「たこつぼ」の形になるのは,冠動脈の分布に一致しない心室局所の収縮障害と,障害のない領域の過収縮のためです.急性に発症し,1−4週間で自然に改善します.カテコールアミンの過剰分泌や多枝冠動脈のスパスムなどが原因として提唱されていますが確定していません.韓国の論文では,主に進行期のALS 64例中9例で認めています(J Neurol Sci 2017 15;375:289-293).全例,球麻痺ないし上肢発症でした.呼吸困難で発症し,2例では急性冠症候群様の胸部不快感を認めました.特に進行期のALS患者さんで,急な呼吸困難や胸部不快感を認めたら,たこつぼ型心筋症を疑う必要があります.脳梗塞,クモ膜下出血,重症筋無力症,てんかん,GBS,筋強直性ジストロフィーでも合併します.

動画はINTERNATIONAL TAKOTSUBO REGISTRYホームページ(http://www.takotsubo-registry.com/about-takotsubo.html)より

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