コラム

神経所見・検査所見

2017.12.13

ヘミバリズム

回診でバリズム(ヘミバリズム)について議論しました.四肢を付け根から大きく投げ飛ばすような不随意運動で,ラテン語の「投げる,投げ飛ばす」という言葉から名付けられました.提唱された頃から,激しい舞踏運動との区別の問題が指摘されてきました.バリズムには同じ運動パターンの繰り返し(常同性:stereotype)がみられますが,舞踏運動には見られない点で鑑別できます.またバリズムが四肢近位部の捻転性の運動が主体であるのに対し,舞踏運動は四肢遠位部に強い点でも鑑別できます.主に視床下核の病変により生じ,病変の対側に出現します.視床下核は3本の血管(前脈絡動脈,後大脳動脈,後交通動脈)で支配されるため完全虚血にはなりにくく,脳卒中では脳梗塞より脳出血で生じやすいと言われています.その他,脳腫瘍,糖尿病,薬物等でも生じますが,変性疾患に合併することは稀です.画像はYouTubeより.

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