コラム

医療と医学

2020.03.21

レオナルド・ダ・ビンチと500年前の脳

Neurology誌を読んでいて,偶然,面白い記事を見つけました.レオナルド・ダ・ビンチは言わずと知れたイタリアのルネサンス期を代表する芸術家ですが(1452-1519),実は初期の神経学の歴史においても偉大な貢献をしています.1枚目は1490年(足利義政が銀閣を完成させた翌年)に書かれたもので,当時の脳の考え方が分かる概念的な図です.よく見ていただくと分かるように,脳のなかにある構造は,球形をした脳室が3つだけで,しかも目につながっています.中世においては,記憶のような特定の脳機能は脳室に存在すると考えられていたのです.その後,ダ・ビンチは観察を重ねて,18年後には,現代の我々の理解と違わない解剖学的に正確な脳の描写を行い,そして「脳の機能は脳室には存在しない」と結論づけたのです.このためダ・ビンチは「ルネサンス期の神経学者」と呼ばれています. Neurology. 2019;93(16):717-718.

一覧へ戻る