コラム

医療と医学

2019.01.26

イヌピアト(エスキモー)のマスク

最新号のNeurology誌の表紙を飾った写真です.アラスカ州北部,北極海沿岸地域に住む先住民族であるイヌピアト(エスキモーに属する)が儀式で使うマスクで,1890年に作成されたものだそうです.彼らにとって冬に経験や物語を話し伝えることは大切な活動であり,その際にマスクを被り,効果を高めるのだそうです.病棟実習の学生に写真を見せて「所見と病変部位を考えなさい」と言いました.右の閉眼困難,鼻唇溝の消失,口角の下がりに加え,額のシワ寄せ困難があり,右側の末梢性顔面神経麻痺の所見です.北極圏ではこのような顔面神経麻痺を示すマスクは珍しくないそうで,寒冷暴露が顔面神経麻痺の誘因のひとつであることと関わりがあるのではないかと著者は述べています.
El-Mallakh RS et al. Neurology 2019;92, 46-47.

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