コラム

医療と医学

2018.09.11

アインシュタイン脳の新たな画像? ―Neurology誌の意図―

先日のNHKスペシャルでは,失われたアインシュタイン脳を集め,3D画像に再構成する印象的な場面が放送された.最新号のNeurology誌(米国神経学会誌)を眺めていたところ,この領域で有名なFalk論文のアインシュタイン脳の写真(図上)の下に,見慣れない脳~脊髄の3D?画像が掲載されていた(図下).「何だ?新しい撮像法か?」と思い,よく眺めると何か変だ.本文を読むとまず「真の芸術は,想像的な芸術家による抵抗しがたい欲求によって特徴づけられる」というアインシュタインによる有名な格言が意味ありげに引用され,ついで「神経内科医として,かつ熱烈な編みもの好き(!)として,アインシュタイン脳を編み物で再構成したくなった」と書かれている.「なんと編みものか(笑).それにしても,なぜ一流学術誌がなぜこんなことを!」

近年,米国神経学会で起きた学会のあり方に関する見直し「Live Well」,つまり脳神経内科医の燃え尽き症候群を防ぎ守ろうという流れと無関係ではないのではなかろうか?個人のレジリエンスの向上に役に立つことは,学術と等しく大切であるという学会の方針を示しているように思える.その意味でとても衝撃的な写真である.

http://n.neurology.org/content/91/7/325

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