コラム

医学と医療

2017.08.05

視線入力の意思伝達装置 OriHime eye

当科の期待の若手のひとり,竹腰顕先生がOriHime eyeについて病棟で説明してくださいました.これはALSのような難病患者さんが意思の伝達に使う「透明の文字盤」の進化形とも言えるもので,動画のように見つめた先の文字が瞬時にパソコンに入力され,音声になります.分身ロボットOriHimeと合わせて使うこともできます.OriHimeは遠隔操作ロボットで,カメラ,マイク,スピーカー,モーターを内蔵し,患者さんはインターネットを介して動かします.例えば,自宅から視線でロボットを操作し,結婚式に参加して,OriHimeの合成音声でお祝いを述べることができるのです.

研修医の先生と一緒に見学しましたが,伝えたいことがありました.「気管切開しても発声できるようにしたスピーチ・カニューレなどの発明もおんなじで,困っている人の役に立ちたいという気持ちが出発点なのだと思う.治療薬の開発研究だけでは不十分で,このような研究も患者さんのために大事なんだよ」と話したところ,大きく頷いてくれました.

一覧へ戻る