コラム

脳血管障害

2019.04.14

Trousseau 症候群におけるThree territory sign(3領域サイン)

先週の回診でThree territory signについて紹介しました.多発脳梗塞に遭遇した際,原因として,心房細動を伴う心原性脳塞栓症や,悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により生じるTrousseau 症候群をまず考えます.しかし両者の鑑別は必ずしも容易ではありません.米国ハートフォード大学から最近報告されたThree territory signは,陽性であればTrousseau 症候群の可能性が心原性脳塞栓症より6倍高くなるというものです.方法は簡単で,前方循環領域を左右2つに分け,さらに後方循環領域を加えて3領域として,3領域すべてに拡散強調画像で高信号病変を認めればThree territory sign陽性となります.表のとおり,サイン陽性例はTrousseau 症候群では15/64例(23.4%),心房細動に伴う脳梗塞は6/167例(3.6%)で有意差があり,Trousseau症候群の診断における感度は23.4%,特異度96.4%です.単一施設で後方視的に検証して見出されたサインですが,臨床における気づきから見出されたものと思われ,こうした臨床研究は素晴らしいなあと感じます. Neurol Clin Pract 2019 

https://cp.neurology.org/content/9/2/124

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