コラム

脳血管障害

2018.12.14

間欠性跛行の第3のタイプ

回診で間欠性跛行,つまり歩き出しは問題ないものの,しばらくすると下肢に疼痛・しびれ・脱力が生じ歩行困難となり,しばらく休むとまた歩けるようになる現象について話しました.機序として血管性と馬尾障害性が有名で,それぞれ閉塞性動脈硬化症,腰部脊柱菅狭窄症が代表疾患ですが,第3の機序として一過性脊髄灌流障害があります.つまり神経原性は,馬尾障害性と脊髄性に分けられるのです.この脊髄性間欠性跛行は,1900年,Dejerineが脊髄の梅毒性血管炎による症例を報告し,その後,腹部大動脈硬化性病変や脊髄動静脈奇形でも生じることが報告されました.友人の東北大学新妻邦泰教授はJ Neurosurg 2004に脊髄動静脈奇形例の報告をしています(図).体幹から下肢にかけての絞扼感,しびれ感,下肢の脱力感が出現し歩けなくなりますが,疼痛を訴えない点がポイントです.診察では歩行後の錐体路徴候の出現・増強を確認します.

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