岐阜大学医学部・同附属病院の整備について
 
 医学を取り巻く周辺科学と技術の著しい進歩,国民の価値観やニーズの社会的変化に伴い,医学研究と医療が長足の進歩,変革をとげている。この進歩と変化に対応するため,大学としても医学教育や研究の組織構造,関連する環境整備などを一層拡充化し,附属病院にあっては先端医療や疾病の変化に対応できる設備の整備,医学・医療の進歩とそれに伴う社会的要請に即応できる体勢造りが必要である。さらに,高齢化・超高齢化社会の到来や国民の生活様式の変化に伴う疾病構造の変化,国際化に伴う輸入疾患の増加など,医学教育・研究の両面における質的・量的な変化は著しく,この傾向は21世紀を向かえ益々増大するものと思われる。
 この進歩・変革に対応するため,広範な,しかも高度な医学知識・技術を精選して学生に修得させることも必須ではあるが,多様化する社会的要請に応え得る人間性豊かで倫理観に富む医学者・医師の育成が医学教育・研究に必要と思料される。
 また,附属病院は,医学部の附属教育研究施設として,診療を通じての卒前臨床教育及び卒後臨床研修,並びに医師の生涯教育の役割を担うと共に,先進医療についての研究・開発を行い,医学水準の向上に貢献すると共に,地域の中核的医療機関として地域住民の健康維持・増進に寄与する責務がある。
 このような役割を担う医学部・同附属病院が,21世紀に向けての医学教育・研究及び医療の進展に寄与し,新たな社会的要請に応えていくためには,教育・研究・診療体制を抜本的に整備していく必要がある。
 医学部及び同附属病院は,昭和39年及び同42年にそれぞれ国立移管されたが,現在まで敷地面積(30,900・)の関係等で必要最小限の整備に留めてきたが,建ぺい率 44%,容積率 226%(建物述べ面積約69,700・)と有効な空地がほとんどない状況にある。
 医学部は建物の老朽化(全体の79%が危険建物)による雨漏り,モルタル落下,漏水等種々の問題が発生している。また,共通機器室等の増設に伴い研究室の面積が縮小され,セミナー室及び実習室も転用されており教育・研究に支障を来している。さらに平成7年度入学生から導入したテュトーリアル教育に必須である小教室を30室設置したが,他の部屋との共用の場合があり十分な教育資材と共にその整備が緊急に求められている。
一方,共通実験施設においては,RI施設及び遺伝子実験施設のいずれも極めて不完全又は殆ど未整備とも言える状況にあり,研究及び実験に極めて大きな支障をもたらしている。動物実験施設は平成7年に省令施設として認められたが,現代医学で求められる実験水準を満たす施設ではなく,全面的な整備が求められている。
 また,附属病院は建物全体面積(約49,325・)が少なく,各診療科,中央及び特殊診療施設等の各部門が狭く有機的な配置ができていないため,先端的医療設備が導入できないこと,増築の積み重ねでカルテ等の搬送設備が設置できないこと,駐車場が狭すぎて外来患者に多大な不便を強いていること等,医療の質的向上及び効率化並びに患者サービスの面で苦慮しているところである。さらに,平成8年度から総合診療部を院内処置により設置し本年省令認可されたが,これが十分機能していくためには,関連する施設の整備が必要欠くべからざるものである。
 このような状況のなかで,医学・医療に対する当面の社会的要請に応えていくためにも,現在の医学部・附属病院の施設では職員の懸命な努力にもかかわらず限界にきている。そこで,医学部・同附属病院が岐阜大学柳戸地区に隣接した地に移転・統合すべく鋭意努力が重ねられてきた結果,漸く平成9年末に文部省の認可を得て,現在平成15年度を目指して附属病院が,18年を目指して医学部が移転完了する計画が進められている。移転完了後の医学部・同附属病院は,21世紀の医学・医療を担うにふさわしい理想的な施設・環境に生まれ変わるものと大いに期待される。