VI 施設・設備

1 施設・設備の現状・整備状況
医学部の管理する施設・設備
土 地建 物
(1) 施設・設備の整備と当面の課題

 (施 設)

 施設について、医学部・同附属病院は、昭和39年及び42年に国立移管され、現在まで敷地の関係等により、必要最小限度の整備を行ってきたが、建ぺい率43%、容積率225 %と有効な空地がほとんどない状況にある。
 医学部は建物の老朽化 (全体の79%が危険建物) による雨漏り、モルタル落下、漏水等種々の問題が発生している。また、現在は、共通機器室等の増設に伴い研究室の面積が縮小されており、さらにセミナー室及び実習室も無く、教育・研究に支障を来している。
 一方実験施設においては、RI 施設、動物実験施設等いづれも極めて不完全又は殆ど未整備とも言える状況にあり研究及び実験に極めて大きな支障をもたらしている。
 また、附属病院は建物全体面積が少なく各診療科、中央診療施設及び特殊診療施設等の各部門が狭く、有機的な配置ができていなく先端的な医療設備が導入できないことと、増築の積み重ねでカルテ等の搬送施設が設置できないため、医療の向上及び効率化並びに患者サービスの面で苦慮しているところである。
 このような状況のなかで、医学、医療に対する当面の社会的諸要請に応えて行くにも、現在の附属病院施設は既に限界にきており、21世紀を展望した医学部・同附属病院の将来構想を実現可能とするためにも、移転整備による将来構想の早期実現が待たれる。

 (設 備)

 必要な設備については、概算要求をはじめ一般設備の要求等で、研究内容、緊急度に応じて年々整備されているところであるが、設置スペース及び予算枠等の制限もあり、満足のいく整備がなされているとは言い難い現状にある。
 今後の課題として、医学部にあっては、i) 学生の自主的利用及び効果的な教育体制を整備推進するため、今後電算機、視聴覚機器等の充実をより一層図る必要がある。ii) 平成 7 年度に省令施設となった動物実験施設について、施設及び設備の整備を図る必要がある等を抱えている。また、高度及び先進医療を提供する附属病院にあっては、最新の医療機器の導入が必要とされる。毎年何台かの医療機器の導入を図ってはいるが、施設の狭隘及び予算の関係等から決して満足できる状態でない。具体的には、機器の数量においても十分とは言えず、診療科間で貸し借りするなどして運営している状況である。最新の医療機器はフル稼働の状態であるが、耐用年数を過ぎた機器についても更新がままならず、修理しながら稼働せざるを得ない状況であり、また施設の狭隘により、カルテ、レントゲンフィルムの集中管理もできない状況にある。
 当面整備を要する設備として、集中治療部関連設備、患者サービスに係る老朽化ベットの更新及び医療材料のワゴンシステムの整備拡充等を抱えている。また、院内の各セクションにおいて老朽機器が増加しているが、現下の厳しい財政状況にあっては予算措置が望めないため、既定予算内で更新費等の一定枠を設け、年次計画で整備、更新を図る必要がある。また、医学部及び附属病院は現有施設が狭隘なため、現在地では大型機器及び先進設備の導入が困難であり、教育、研究及び診療について将来的な発展が望めない状況にある。

(2) 動物実験施設の整備状況と当面の課題

 動物実験施設のあるべき姿は、原則論的に言えば動物実験指針を厳密に遵守して適正な動物実験を行うために、あらゆる支援的機能を果すべき施設である。特に近年生命科学の発展によって動物実験も極めて多様化し、それに伴う適正な施設設備が要求されているが、当医学部では正規な手続きによって作られた動物室はなく、動物実験施設のない数少ない国立大学医学部の一つであった。しかし医学の研究を推進する上で動物実験は不可欠なものであり、その必要性は益々高まっているので、とりあえずは基礎棟屋上に作成した飼育室 (221 m2、主に大動物用)、また各講座等の研究室で動物を飼育し、実験してきたのが現状であり、動物実験施設の整備状況は極めて劣悪である。一定環境の下に飼育管理された動物を、一定条件の整った実験室で実験することができないので、信頼出来る実験結果を得にくく、さらに実験の頻度が多くなるため要する時間が長くなり無駄が生じている。またこれら動物の鳴き声や悪臭が、周辺住民に迷惑をかけている。そのような中にあっても、動物実験は常に再現性のある精度の高いデーターを得なければならない上、実験動物に対する倫理上の問題も提起されるようになってきたので、動物の飼育、管理あるいは研究者に対する指導教育、さらには実験動物に関する情報収集などを行うため、平成 5 年度から岐阜大学医学部に学内措置による附属動物実験施設を置き、その内規を定めると共に運営委員会を設置して実質的な活動を開始することとなった。平成 7 年度から省令施設となり、助教授 1 の専任教官が配置され、教育・管理・指導活動を開始した。平成 8 年度から教官研究室及び実験室が整備された。
 動物飼育室は上述のように一元的に中央管理されておらず分散しているので、委員会として全体を掌握することは困難であるが、いずれの飼育室でも整備された好ましい環境が得られるよう指導助言することとなった。先ずは各講座の飼育室について、管理責任者と飼育担当者を決めて、実験動物管理記録を記帳すると共に、飼育数並びに処分動物数を定期的 ( 6 ケ月毎) に報告し、さらに各動物室の清掃を徹底し、感染防止対策や動物の逃亡防止策等を検討実施することとした。次いで各飼育室の視察を行い、空調、照明、器具の洗浄、部屋の清掃などについて不備な点を改善することとした。なお感染防止対策として各動物飼育室の清掃、消毒を年 2 回 (夏、冬) 一斉に行い、実験動物室の入り口は必ず施錠することとし、動物に係る緊急時の連絡体制を決めた。研究者に対しては実験動物の取り扱いについて教育する必要があり、さし当たっては 4 月の臨床研修員研究会等で新入生に説明することとした。
 動物実験は、信頼性の高い再現性のある結果をださなければならない。そのためには科学的に十分吟味された良質な実験動物と、動物実験のために厳重に規制できる環境が得られるよう配慮された施設、設備が必要である。従って実験動物を中央管理し、内容的にも、機能的にも優れた飼育と繁殖を行い、研究及び実験の向上と安全を図る全体的利用施設としての動物実験施設を整備しなければならない。しかし医学部移転計画が進行している現時点では、現在地にそのような施設を建設することは不可能であり、可及的速やかに移転地の整備計画を作製し、まず最初に動物実験施設を建設することが望まれる。当面の課題としては、岐阜大学医学部の動物実験施設が学部内では機構上一応出来上り、運営委員会も活動を始めたので、益々活発に活躍すると共に今後は基礎棟屋上の動物室がより良く整備されると共に、動物の飼育管理に携わる専門技術者や事務職員の配備されることを強く要望するものである。
 
(3) RI 施設の整備状況と当面の課題

 岐阜大学医学部放射性同位元素研究室 (RI 研究室) は、昭和44年 3 月 3 日以来科学技術庁より放射性同位元素等使用承認 (承認番号:使第1421号) を受けており、本医学部の教育・研究の発展に寄与してきた。また、放射線障害防止法関係法令の平成元年 4 月 1 日の改正に伴いこれに適合すべく本施設の改修・整備に努めてきた。すなわち、RI 保管室、廃棄物貯蔵室、有機液体廃棄物燃焼処理室、化学実験室、空調設備、排水処理タンク等の改修・整備がなされ、平成 3 年度にはカード式入退室管理システムが導入された。しかし、動物飼育室については撤去せざるを得ず、現有施設は建物の構造からこれ以上の整備・拡充は困難である。このことは、バイオサイエンスや遺伝子医学の急速な進歩に対応した研究の遂行に大きな支障をきたしており、多くの先進的な研究は学外に出かけて行われているのが現状である。本学の科学的研究レベルを高水準に維持するためには、このような状況が急速にかつ適切に改善される必要がある。

 1) 放射性同位元素使用許可核種

 平成 2 年 4 月以来、10核種について承認を受けており、毎年度はじめに RI 研究室運営委員会で合議した配分量および年度終了後に集計した購入量を表1に示す。しかし、これらの許可数量は必ずしも十分なものではなく、とくに 1 日最大使用量の少ない核種については、複数の講座が同時に購入・使用を計画する場合に大きな支障をもたらしている。使用量の制限は空調された研究スペースの広さと排水処理タンクの貯蔵量に規定されるものであり、現有施設での使用許可数量の増大は困難である。ただし、使用しない核種があればそれを取り下げて必要の多い核種の許可数量の増大に変更することは可能であり、このためには科学技術庁に改めて許可数量の変更を申請する必要がある。利用者から要望の高かった32P および35S については、平成 5 年度より現在の許可数量に増量した変更申請が許可された。
表1 放射性同位元素使用配分及び購入数量 (平成 5 年度〜平成 7 年度)
  *単位は MBq で表す。
 一方、平成 7 年度には利用者から要望のあった 123I、99mTc、201Tl、33P の4核種について平成 8 年 2 月より新規に使用許可が承認されており、平成 8 年度より本施設での使用を可能とすることが運営委員会で承認された。これら 4 核種の年間および 1 日最大許可数量はそれぞれ、123I:740MBq、3.7MBq、99mTc:37MBq、370MBq、201Tl:111MBq、1.11MBq、33P:3.7GBq、18.5MBq である。利用者がこれらの核種を用いて最新の研究をなされることが期待される。
 2) 放射性同位元素研究室使用登録者について
 放射性同位元素は、医療はもちろん医学研究においてもきわめて有用な手段であり、本施設においても多くの研究者が RI 業務従事者としての使用登録を行っている。表 2 には医学部放射性同位元素研究室の使用登録者数を示す。
表2 医学部放射性同位元素研究室使用登録者数 (平成 5 年度〜平成 7 年度)
 なお、RI 業務従事者としての資格を得るためには、法令によって定められた教育訓練を受講し、定期的に健康診断を受ける必要がある。本学放射線協議会では、年 1 回 6 月下旬〜 7 月上旬に柳戸地区と司町地区とで交互に 6 時間におよぶ教育訓練を外部から招いた特別講演者や学内の関係者の協力により開催している。また、RI 業務従事者は問診表による健康診断を年 4 回、血液像の血液検査を年 2 回受診しており、フイルムバッチは 2 週間ごとに交換して汚染のチェックを行っている。
 3) 設備・備品について
 医学部放射性同位元素研究室の研究用機器は、耐用年数を大幅に超えた液体シンチレーションカウンターをはじめ数年前まではきわめて貧弱であったが、平成 5 年度概算要求特別設備の要求や平成 7 年度の放射線防護設備費の予算措置がなされ、液体シンチレーションカウンター、プレートカウンター、ガンマカウンターが更新ないし新規導入されて大きな改善がなされている。予算措置されてきた大型機器に比べて、中・小型機器の整備は十分ではなく、炭酸ガス培養器、プレート洗浄機、自動現像機、低速冷却遠心機が設備されているにすぎない。
 一方、放射線防護関連の設備については、動物乾燥装置 (アロカWDS-501B、昭和61年導入) が修理不能となり、現在汚染動物の処理については柳戸地区の動物乾燥装置を用いて有料で処理をお願いしている。放射性有機廃液焼却装置トリスタンは平成 2 年に導入された機器であるが、これまでにしばしば故障を繰り返しており高額な修理費を要し、近い将来その更新は必至とされる。平成 7 年度の放射線防護設備費の予算措置によりガスモニター一式 (β(γ) 線ガスモニタ、ルームヨウ素モニタ、ルームガスモニタ)、ハンドフットクロスモニター一式が更新され、デジタルキュリーメータ 1 台が新規に設置された。
大型研究機器の使用状況
 4) 当面の課題
 設備に関しては上に述べたように次第に改善されてきているが、有機廃液燃焼装置の更新が切に望まれる。年来の累積された廃液に加えて、日々の研究により常に生じている廃液の処理は急務である。一方、廃液をほとんど生じないような実験計画の立案も望まれ、プレートカウンターはこの点で威力を発揮することが期待される。また、最近では RI を用いない実験系も種々考案・開発されており、ある分野では RI に匹敵する感度の得られるものもあるので、実験系によっては脱アイソトープ実験への移行も考えることが必要である。
共通研究室の設備の充実が進む一方で、その運営のための費用が年々増加の傾向にあり講座に配分される研究費を圧迫しているのも事実である。RI 研究室も研究費圧迫の一因をなしていることが十分予測され、少なくともある程度の受益者負担が望まれる。このような視点から放射性廃棄物の廃棄に必要な費用を廃棄物の量に応じて使用講座に負担していただいている。柳戸地区施設ではシンチレーションカウンターの使用にあたってもバイアル 1 本につき何円かの利用者の負担金がかかるという現状であり、本学部の施設においても今後このような受益者負担システムの導入を考える必要があるかもしれない。
 最後に、本 RI 研究室の実験スペースはきわめて狭隘であり、研究の進展に大きな支障をきたしている。したがって、共通研究室であって自分たちの講座ではないことをよく自覚し、他の利用者が実験しやすいように実験台や室内を常に整理・整頓しておくことは必要である。
2 施設・設備の安全性の確保

 防災訓練を昼間・夜間において、毎年2回実施して安全及び防災対策に万全を期している。一方、今後の課題として、動物実験棟、廃棄物の保管場所、焼却用の煙突等の整備が必要であり、また基幹設備が地下に設置されているため地下水の浸水を受けていること、あるいは構内駐車場が狭いため路上駐車が多くなって災害時の緊急車両の進入障害になっていることなどが早急の改善課題である。

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