序   文


 平成 3 年の大学設置基準の大綱化に伴い、各大学では教育カリキュラムを中心に独自の創意に基いた改革がなされてきている。また、高度学術研究者と高度専門職業人の養成を目的とする大学院においても組織編制を含めた改革が始まっている。その一方では、このように各大学に委ねられた教育・研究の現状を的確に把握し、自ら点検・評価し、将来への改善に資することが求められている。この趣旨にそって本学部では、平成 6 年 2 月に 「岐阜大学医学部・附属病院の現状と課題」 の第 1 号を編集した。

 今世紀もあと3年で終わろうとする今日、21世紀医学・医療懇談会報告にも提言されているように、これからの医学教育の質的充実方策として、入学者選抜の改善、カリキュラムの改善、基礎医学・社会医学の充実振興等が強調されている。学部教育の改善として、少人数教育やテュトーリアル教育の積極的導入及びクリニカル・クラークシップの推進が挙げられているが、本学部ではテュトーリアル教育を他に先駆けて本年度より開始している。また、臨床実習資格総合判定試験の後に、クリニカル・クラークシップに参加するカリキュラムも近く始まろうとしている。この新システムはスタートしたばかりで、試行錯誤的な要素もあり、定着に至るまでにはある期間が必要とされるが、その目標に向かって担当委員会を中心に鋭意努力が重ねられている。

 これらの学部教育の改善と相俟って大学院の活性化が叫ばれている。これまでに21世紀指向の先端医学研究の推進が求められるなかでの大学院活性化は必須である。大学院学生を中心とした、基礎医学・社会医学系と臨床医学系の活発な共同・協力研究、さらには他学部、他大学にわたる学際研究の推進は、本学部全体の将来の研究レベルの向上に貢献するところ大である。

 医療の面においては、"50年生きる日本人" から "100年生きる地球人" という視点から、QOL を重視した医療が求められ、また高度先進医療と生命維持との関係が問われている。上記報告書にも、人間性豊かな、患者の立場に立つ、生涯学習する、しかも、地球規模で活躍する医療人が次世代のあるべき姿とされている。教育改革も正にこの意図にそってのことである。総合診療部の開設も、全人医療あるいは包括医療の一部として重要な役割を果たしている。

 このような教育・研究・診療における改革は、まだ緒についたところであるが、医学部・附属病院の新キャンパスの移転統合という一大好機に併せて、さらなる改善を加え、21世紀に輝く医学・医療の殿堂になることを願っている。

 なお、この第 2 号の編集に多大な尽力をなされた自己評価実施委員会作業部会の委員、ならびに担当事務職員の方々に深甚なる謝意を表したい。

医学部長 野沢義則 

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