岐阜大学医学系研究科・医学部


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現状と課題

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3年ごとに発刊している「現状と課題」の9号を纏めることができた。対象期間は2012年1月~2014年12月の3年間である。1号から8号まで並べてみると次第に厚さを増してきていることが一目瞭然である。教育・研究・診療活動の状況をそれぞれの分野・診療科で活動状況を纏め,問題点を分析し,そして対策を講じるということはきわめて重要である。

さて,この3年間に医学領域においても国内外で種々の事柄が起きた。2014年2月に西アフリカでのエボラ出血熱が流行し,世界を恐怖に陥れた。現在までに4,000人以上が犠牲となったが,これまで有効な薬剤やワクチンがなく,隔離,封じ込め作戦が主体であった。しかし日本の製薬会社が抗インフルエンザ薬として開発した薬のエボラ出血熱に対して有効性が示され,米国は未承認薬のまま使用に踏み切った。この薬剤がすべての症例に有効というわけではないが,有望な治療薬として現在脚光を浴びている。日本の製薬技術の高さを世界に示した明るいニュースである。

さて,国立大学に対する国の施策が大きく変わろうとしている。これは2012年に各国立大学にミッションの再定義を求めたことに端を発する。すなわち文科省が財務省(ないしは財界)から国立大学の存在意義と地域における役割を明確に示すよう課題をつきつけられたもので,文科省から各大学に再定義を提出するように求められた。文科省HPで各医学部の再定義を確認することができる。また,2013年からは大学の改革推進の一環として,学長ガバナンス強化が強調され,実際学校教育法と国立大学法人法が改正され,2015年4月に施行された。一方で,文科省は全国の86国立大学を3つのグループに分けてそれぞれの特色を出させようとしている。すなわちこれまでの大学規模に応じて配分されていた運営費交付金に競争原理を導入するもので,これも産業界からの意向が反映しているものと推測される。さらに研究費の面においても改革案が打ち出された。文科省,厚労省,経産省の医学研究に関する研究予算を一本化し,総務省が管轄する「日本医療研究開発機構」が2015年4月に発足した。この機構は米国のNIHを模したものであり,大型プロジェクト型の研究が主体となる。一方,従来の文科省科研費の予算は数年来減額傾向にあるが,プロジェクト型ではなく,自由な発想に基づく研究を支援するこのような予算は是非確保しておいてもらいたい。いずれにしても学長ガバナンスの強化で各大学がそれぞれ独自の方向性を打ち出し,発展していくのであれば問題はないが,ガバナンス強化を逆手にとって国の意向に背く大学を圧迫する方向に進まないことを願っている。

山中伸弥教授のノーベル賞受賞後,iPS細胞の今後の医学の発展に寄与するところ計り知れないものがある。しかしその一方で国内ではSTAP細胞や臨床研究における論文不正という残念な出来事もあった。当医学部の臨床研究に関しては倫理審査委員会において厳格に審査を行っているが,研究論文作成は各研究者の研究倫理観に委ねられている。研究倫理を遵守することは研究者としての基本であり義務である。したがって研究倫理に反する行為は研究者としての道が閉ざされる可能性のあることを強く認識しておく必要がある。ノーベル賞受賞者を輩出している科学大国の日本でこのような研究不正が蔓延しているとは考えたくない。

附属病院に関しては2014年度の消費税アップや厚労省の特定共同指導の影響などで赤字見込みであったが,ベッドコントロール体制の改善や各診療科の努力で年度末にかけてかなり赤字を圧縮できた。経営収支にはさまざまな要素が関与するが,病院長以下職員全員が一体となって病院経営改善に取り組むことが必要である。国内の医師不足対策としては2008年から医学部定員増加策が採られており,入学定員は9,000人を超し,すでに1,500人余りが増加したことになる。そのほとんどはいわゆる地域枠定員であり,各自治体が修学資金を貸与して卒後11年間を地域医療での活躍を期待している。当医学部における今年の地域枠定員は28名であり,地域医療医学センターが地域医療実習を調整している。また,岐阜県医師育成確保コンソーシアムを組織し,地域枠学生が夢を持ってキャリアを積めるように支援をしている。今後,地域枠出身の医師の増加が見込まれ,10年後には十分とはいかないまでも現在よりは地域医療にたずさわる医師数は増加して充実することは間違いない。地域医療医学センターではそのほか,女性医師の支援活動も県医師会との協力体制のもと,女子学生のみならず男子学生をも対象として地道な啓発運動を行っている。

最後に膨大なデータを冊子に纏められた自己評価委員会の原明委員長並びに事務職員に敬意を表する。岐阜大学医学部と附属病院が今後さらに発展していくための飛躍台として活用されることを心から願っている。ただ,冒頭でも述べたようにこの「現状と課題」の冊子は号を重ねるにしたがってかなり厚くなってきた。岐阜大学大学院医学系研究科/医学部のHPでバックナンバーも含めて閲覧可能であり,冊子作製費の高騰や活用度の点から今後はCDによる配布も検討したいと考えている。

 


    岐阜大学大学院医学系研究科長・医学部長    清島 満

 


(現状と課題 第9号 序文より)

 


 

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